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NAG vs レデューサー 効果の比較

すでにTrickerから一度NAGを取り外してノーマルへ戻してみました。一度ノーマル状態を再確認してからレデューサーを装着しました。そうすることによって、よりNAGとレデューサーの違いが明確になると考えました。その結果意外な差を感じたので以下に詳しく書いてみたいと思います。

レデューサーはこの位置に装着

なんとなく気乗りしないまま、NAGを取り外してノーマルにいったん戻し、最初にスタートして一瞬驚きました。あれ?取り外した状態も悪くないぞ、と。自分はエンジンを始動した直後、まだオイルが温まっていないような時には、出来るだけ丁寧にバイクをスタートさせるように心がけています。具体的にはなるべくアイドリング状態を維持したまま、アクセルをほとんど開けずにゆっくりと半クラッチを使います。その時点でノーマルの方がトルク感がある?ように感じたからです。ですが、ある程度エンジンが温まって普通に加速してゆくと、粘度の高いエンジンオイルが入っているかのような抵抗を感じはじめ、いつものような軽やかな回転上昇感は無くなってしまいました。特に低いギアではアクセルのオンオフに対して、一拍置いてから反応が返ってくるような感じです。また加速時にはトルクの立ち上がり方が唐突、戻した時はいままでよりも急激にエンジンブレーキが効いてしまいます。パーシャルからのアクセルのオンオフ時に、もう少し優しい感覚を求めたり、微妙な操作をしたい時には辛いですね。たまたまTrickerは250ccと言う小さな排気量だから良いのですが、大排気量シングルなどではこのあたりの影響がもっとわかりやすくシビアに出るのではないかと思います。NAGの効果と良さが再確認できたところで、今度はレデューサーを装着してみます。

エンジンが熱い状態でマシンに触りたくないので、その間いつもお世話になってるN輪店のオヤジさんと友人とバイク談義で盛り上がりました。話は尽きませんがエンジンが冷えた頃合を見計らってレデューサーを装着しました。

早速走りだしてみます。やはりアクセルを開け始めてからの反応が格段に穏やかかつ優しくなり、ソコから開けて行った時のエンジン回転上昇が非常に軽やかになっています。そのレスポンスはNAGよりもさらに優しい感じです。NAGも低粘度のレーシングマシン向けオイルを入れたかのように抵抗なくエンジンが回って行く感覚がありますが、それがレデューサーの方がよりサラサラなオイルが入っていて抵抗感が少ない気がします。早速、高速道路にも乗ってみました。ここでン?と首を傾げる事態が発生したのです。NAGに比較すると確かにエンジンが優しく回って行くのですが、何か物足りないのです。そう、トルク感が多少減っている気がするのです。特にそれは高回転域で顕著な感じがします。

確認のために今度は再びNAGを装着してみました。中回転域から高回転域にかけてのトルク感がレデューサーよりも若干豊かに感じます。コレが単なる自分の印象や感覚的なモノでしかないのか、それともやはり明確に違いがあるのか?それをどうしても確かめたくなりました。そこでNAGとレデューサーを交互に付け替え、某コース内のストレートを使用して何度か最高速テストにトライしてみました。現在の自分のファイナル15/43だと、NAGやレデュサー装着以前のTrickerの最高速は120km前後でした。メーター読みだとテスト中の自分の記憶に頼るしかないので、YUPITERUのGPSデータロガーの記録を参照するコトにしました。何度か最高速にトライしてみたのですが、毎回ほぼ同様のデータが取れました。結果的に自分自身の体感とどおり、NAGの方が常にプラス約5km/h前後ではあるのですが、レデューサーに比較して若干ですが高いトップスピードを記録したのです。

当初考えてた以上に明確な差があった

ここで自分なりになぜこのような結果が出るか考察してみました。まずNAGとレデューサーのそれぞれの製品構造上の差について注目してください。詳しい解説や製品の詳細はリンク先HPを参照していただくとして、NAGはクランクケース内に発生する脈動に対して、その構造上レデューサーよりもケース内圧力が逃げにくいのでは無いか?と言うのがまず前提にあります。対して、リードバルブ方式のレデューサーは、ケース内の圧力が少しでも高まった瞬間から、圧力を逃がし始める構造になっています。しかも圧力を逃がし、ケース内が負圧になっても完全なワンウェイ方式のため、ケース内は負圧のままです。むしろピストンが上昇する間、どんどん負圧になってゆくはずです。

どちらの製品を試す時も、自分の頭の中にあったのはピストンを押し下げる時に抵抗となってしまうクランクケース内の圧力は、低ければ低いほど、つまりポンピングロスの理屈から正圧に対して負圧になる方が良いと思っていました。ところが、上記のような体感と結果が出たために考え直さなければならなくなってしまいました。どちらかと言うと理論的にはより良い結果が出ていいはずのレデューサーよりも、NAGの方が実際には自分好みの結果が出た上に、実際のデータ上でも高いトップスピードを記録したからです。


ここで、クランクケース内の圧力が本当になければ無い方が良いのか、あらためて考え直してみました。少々乱暴な話で恐縮ですが、クランクケース内を点火プラグやバルブの無い燃焼室みたなモノだと仮定して考えてみてください。
例えばエンジンの上下を逆にして、考えてみて下さい。Trickerはシングルエンジンですから、通常ピストンが下死点へ向かう方向へ動いて行くと、クランクケース内の空気が圧縮される状態になります。ピストンが通常時で言うところの下死点、これを上下逆状態で考えて見ると上死点になります。その際、クランクケース内の圧力が最も高まった状態を想像してみてください。その状態になってゆく過程で、NAGやレデューサーの効果でクランクケース内の圧力がどんどん抜けて行くわけです。
今度はNAGやレデューサーが未装着で圧力が抜けない時を想像してみて下さい。上下さかさま状態のエンジンのピストンを押し下げる力が、より強いかは言うまでも無いでしょう。つまり、クランクケース内の圧力を抵抗=ポンピングロスとのみ考えてしまうと、単なる邪魔モノでしかありません。ですが、点火、爆発の無い燃焼室みたいなモノであると仮定して考えれば(乱暴な話ですね(^ ^;)、この内圧は有効に作用するのではないでしょうか?。そしてTrickerのように小排気量でパワーやトルクがそこそこのバイクの場合、完全にケース内を負圧にしてしまうより、ある程度ケース内圧力が残っていた方が、トルクやパワーを稼ぎやすいのではないでしょうか?。ですから、NAGはクランクケースの内圧をある程度残す制御バルブと言う製品名が与えられ、余分な圧力だけを逃がしているのではないでしょうか?。また、レデューサーも例えばバルブ部分の押さえの角度、バルブ素材の厚みを変更する等の要素で、もしかしたら同様の効果を得るコトが可能なのかもしれません。以上、全てなんら裏付けのない迷走の仮説です。

もし、この仮説を正しいと仮定するなら、クランクケース内部の圧力はTrickerのようなシングル小排気量やシングルの大排気量、ツイン、マルチとそのバイクの搭載エンジンの型式や排気量、さらには最高出力やトルクの発生回転数、ノーマルまたはチューンの度合い、そしてピストンスピード等によって変わってくるはずです。そして結局はライダーがエンジンに対して何を望むのか、どんなフィーリングが好みなのかによって、NAGとレデューサーの選択肢が変わってくるのではないでしょうか?。ここに至って玄人筋のみなさんはともかくとして、自分の場合はようやくNAGもレデューサーもポン付けで性能が簡単にあがるパーツなのではなく、セッティングパーツなのだと認識できた訳です。現状の自分のTrickerでは、NAG装着状態の方が好ましい感触とデータを得ることが出来ました。しかし、より大排気量で圧縮の高いロングストロークのシングルエンジンなどでは、逆の結果が得られる可能性もありえます。さらに、NAGもレデューサーも排気脈動を利用しているとするなら、ブリーザーホースへの装着位置を変えただけで、もしかしらトルクフィーリングが変化する可能性さえ考えられます。ですので、性能的にどちらが優れているとか、どちらが良い、と言うのでなく、おのおのが乗っているバイクのエンジン型式、ライダーの求めるフィーリングによって、どちらか決めるべきまたは併用にトライしてみる製品なのではないでしょうか。

最後にお断りしておきたいのですが、自分はあくまで単なるバイク好きのいち素人でしかありません。NAGにしろ、レデューサーにしろ、他のパーツにしろ、専門誌などで取り上げられる記事はどうしても大型車を中心としたものになりがちです。自分は特に車検の無い250ccクラスが大好きですが、所有マシンが50ccだろうがリッターバイクであろうが、自分にとって大切なマシンであるコトには変わりがありません。また、今回のこのような記事を書くのであればノーマル、NAG、レデューサーそれぞれの装着状態をテストベンチにかけ、より具体的なデータを提供すべきだと思いますし、わかってもいます。いずれはそう言う手段をとってみたいのですが、現状自分の許す時間、コストで今回のような内容の推測と仮説だらけの記事になってしまいました。故に上記記事内容は全て素人のタワゴトと考えていただいて差し支えありません。より知識と経験のある方の適切な意見や助言がいただけたら幸いです。

また、NAG S.E.D.さんの製品名は本当は"内圧制御バルブ"であってNAGではありません。言いやすいので勝手に"NAG"と呼んでいます。その点、いまさらですがお断りしておきます。拙文を最後までお読みいただきありがとうございました。

その後、別件でNAG S.E.D.さんに直接質門し回答をいただくことが出来ました。
内圧コントロールバルブと高効率エアフィルターの相乗効果

自分では上手くまとめきれないクランクケース内圧制御バルブ関連の記事をプロの方が非常に丁寧に説明してくれています。是非参考に読んでみて下さい。
2010年1月24日 - クランクケース内圧について考える - プランジャー式減圧バルブのテスト
2010年1月29日 - クランクケース内圧について考える - 圧力よりも密度に着目すべし
2010年1月31日 - クランクケース内圧について考える - 逆止弁による差圧利用の減圧
2010年2月01日 - クランクケース内圧について考える - 減圧の危険性と問題点(1)
2010年2月13日 - クランクケース内圧について考える - 減圧の危険性と問題点(2)
2010年2月15日 - クランクケース内圧について考える - 減圧の危険性と問題点(3) 

Thanks XJ900の爽快チューン :-)

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